📚 2021年に読んだ本

2022-11-06 /Diary #Book

もう2022年も終わりそうなのに遅れに遅れて2021年に読んだ本のメモ。毎年書いていて去年の時点で4ヶ月くらいズレていたので、どんどん後ろ倒しになってきてしまっています…

とはいえ読んだ後一年くらいしてから再度ざっくり振り返ってみるのは記憶にも定着しやすくて結構いい気がしてきました。

わたしたちが光の速さで進めないなら | キム・チョヨプ

わたしたちが光の速さで進めないなら | キム・チョヨプ https://www.amazon.co.jp/dp/4152099860

どの短編もとても面白かったです。 ここ数年なんとなくアジアの作家の書いている書籍を好んで手に取る事が多かったのですが、翻訳も綺麗で読み易く、短編SF集的なものの中では近年でこれが一番好きかもしれない。他のものは翻訳のせいなのかもしれないですがテンポが今ひとつに感じられたりしてなかなか入り込めない事が多かった中、今っぽい価値観もありながら全然押し付けがましくなく物語にシュッと入っていける感じです。微妙な設定や語り口だと知らない間に間違い探しに視点が映ってしまって物語に集中できなかったり、脈絡なく今っぽい価値観が出てくると説教くさい感じに受け取ってしまう面倒な人間なのですが、どの話も簡潔で、さまざまなアイデアが散りばめられていて非常に楽しく読む事ができました。

三体Ⅲ 死神永生 上・下 | 劉 慈欣

三体Ⅲ 死神永生 上・下 | 劉 慈欣 https://www.amazon.co.jp/dp/B0922H5V2N

最終章。充分面白かったんだけど個人的には第一部が1番好きな感じでした。 以前 ウール を読んだ時に気づいたのですが、愛がテーマになってくるとちょっと退屈に感じてしまう自分がいるのかも…この年でこの感覚…恥ずかしい…

不動産投資は自分らしく生きる道具――女子のための資産運用入門 | 杉原杏璃

不動産投資は自分らしく生きる道具 | 杉原杏璃 https://www.amazon.co.jp/dp/B08BTM6B1R

とある理由でいただいた書籍数冊の中に入っていた書籍。不動産投資自体名前はよく聞くものの具体的に何をどうするものなのかよくわかっていない中、色々な事例が書かれていて大変勉強になりました。…とはいえ元手も無ければ借金もしたく無いし、手間や精神的な負担がとてもかかりそうなので、自分にはとてもじゃないけど本業をしながらこんな大変な事は出来なさそう…という結論に至りました…やっている人は本当に凄い…

「あなたはその土地にゆかりがあるの? その土地の言語や文化を知ったうえで行くの? 何の知識もないのに『私が行ったら売れるでしょ』っていう、強気なマインドで行くのは絶対によくないよ。

死を受け入れること ー生と死をめぐる対話ー | 小堀鴎一郎、養老孟司

死を受け入れること | 小堀鴎一郎、養老孟司 https://www.amazon.co.jp/dp/4396617305

上記同様いただきものの書籍。人からいただく書籍は自分が普段手に取らないタイプのものばかりなので発見がある…人に書籍をプレゼントする時には、その人が読みそうなものより、パッと見普段手にとらなさそうなものの方が喜ばれるかもしれない…と思ったのはさておき話が逸れましたが、それなりに重いテーマなので覚悟して開いたものの、達観した視点から対話形式で語られる対照的なお二方の対談がなんか息が合っていてリズム感があり、最後までサクサクと読めてとても面白かったです。

死こそ常態 生はいとしき蜃気楼

カレンの台所 | 滝沢カレン

カレンの台所 | 滝沢カレン https://www.amazon.co.jp/dp/4801400752

この流れでなのでいただきものかと思いきや、こちらは普通に気になって購入しました。 こんな感じのちょっと人と違った言語感覚はどうやったら手に入れられるんでしょう…出てくる発想がバラエティに飛んでいて普段から色々な事が思い浮かんでいそうで楽しそうで羨ましいです…

ちょっと話が逸れますが、僕は普段はデザインかプログラムの仕事をしているのですが、デザインは特に「言い換え」の巧みさみたいな能力があると上手くなるように思っています。 例えば「美しい」という感覚を「photo of a fabulous fluffy cat, expulsion thunder from hands, colorful vibrant thunder sky, night, soft purple blue lighting, unreal engine」みたいに別の言い方に言い換えると元の単語では言い表せなかった、言語化した際に削ぎ落とされてしまった情報を内包した伝えたい内容により近い表現ができる、みたいな感じで、 デザインはそれを絵や記号その他あらゆる概念を用いて言い換えることでより一層本来伝えたかった概念に違いものが表現できるのでは…みたいに思っているところがあったりします。 例はノリでStable Diffusionっぽく書いてしまったけど実際には3,4単語程度の情報量かつ幅広い複数の単語にするとAとBの中間値でC,Dよりの概念、みたいなまだ言語化されてない絶妙なポイントを指し示す事ができると思っているのですが、なんだかこの書籍の不思議な言語感覚はその辺の言い換えの技が非常に研ぎ澄まされていて素敵だなと思いました。無い物ねだり的な感じです。

オードリー・タン 自由への手紙 | クーリエ・ジャポン編集チーム

オードリー・タン 自由への手紙 https://www.amazon.co.jp/dp/B08MZMKYPT

オードリーさん本人が書いた書籍が読みたかったんだけど、インタビューの書き起こしだった事に後から気づきました。 優しい言葉で短い区切りで重要な事が語られていて、非常に興味深く読む事ができました。

日本だと「視座を高くもって物事を考えられる」ような人に価値がありそうな言及をよく見かけますが、オードリーさんは「問題を考えるときは、たくさんの視座をもつといいでしょう」みたいな感じで語られています。一方的な視点だけではなく多方面から、トランスカルチュラル、インクルーシブみたいな観点で語られる内容が多くて、上から下にウォーターフォール式に物事が進んでいくような世の中の動かし方とは全然違う方法を模索している姿勢が垣間見られます。物事を考える上で今までと違った考えが思い浮かぶヒントに繋がりそうな気がしました。

自分がどんな人であるかを、表現することが自由です。自分が自由を手にしたら、握りしめずに共有して、みんなを自由にする。自由とは受け取るものではなく、惜しみなく与えるものです。自由を共有すること。

宇宙の春 | ケン リュウ

宇宙の春 | ケン リュウ https://www.amazon.co.jp/dp/B08YNJQM8Q

ケン・リュウさんの新作短編集。今回もどの短編も独特のアイデアで、なのに全然難しくなくて、あっという間に読み終わってしまいました。 特に印象に残っているのは「灰色の兎、深紅の牝馬、漆黒の豹」と「ブックセイヴァ」。前者はSFというよりファンタジーよりの、これだけで何冊も書けそうな設定の物語で、後者はテキスト校正のAIが実用化されているディストピアものだったりします。この2つだけとっても相当な幅の広さでびっくりです…

マンソン・ファミリー 悪魔に捧げたわたしの22カ月 | ダイアン レイク

マンソン・ファミリー 悪魔に捧げたわたしの22カ月 | ダイアン レイク https://www.amazon.co.jp/dp/4596541213

映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」を観たのですが、シャロン・テート事件の事を全然知らなかったので書籍を探して読んでみました。映画に出てきたようなシーンも一部あったものの、基本的に出来事が淡々と固られていて暴力と日常の繰り返しが描かれていて、退屈になってしまって途中までしか読めなかったです…アウトラインが知りたいだけだったのでジャーナリストの人がまとめた本の方を読めばよかったかもしれない…

カルトにハマる人の心理が今までよくわからなかったのですが、恒常的にランダムに暴力が挟まれる生活が続く事で、スキナー箱の実験みたいな感じで脳が変な条件付けを学習してしまって正常な判断ができなくなっていってしまうのかなと思いましたが…いや、そんな単純なもんでもないか…

平家物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典

平家物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 https://www.amazon.co.jp/dp/B00A462JS6

平家物語はおおよその流れは知っているんだけど、細かい部分で実際知らない事が多そうだよなと思っていたので、アニメを見る前に予習しておこうと思って購入。寝る前に読むとすぐに眠くなってよく寝れました。あれ…?

もう、あなたも私も極楽往生は間違いなし

プロジェクト・ヘイル・メアリー 上・下 | アンディ ウィアー

プロジェクト・ヘイル・メアリー | アンディ ウィアー https://www.amazon.co.jp/dp/B09NBZLC7J

火星の人、アンディ・ウィアーさんの新作。今回もサバイバルものなんだけど、ネタバレ注意で書けない要素の部分が非常に好みでして火星の人よりも楽しく読めました。

院生時代に、ひとつ学んだことがある──くたくたで頭が働かないときは、自分はくたくたで頭が働かないのだということを受け入れろ。


コロナ禍で昼夜が逆転してしまって太陽を浴びなくなったからか、前年に引き続き今ひとつ意欲が湧いてこなくて比較的気軽な感じで読める書籍を手に取りがちでした。

技術書やデザイン関連の書籍などは仕事の合間にペラペラ読める別腹扱いなのでここでは省いているのですが、ここに書いておこうかなと思える本は明らかに読書傾向が変わっていたような気がします。いたような…というのは、2022年現在では大学もオフラインになって移動が増えたのもあって元の読書傾向に戻ってきた感触があり、一時的なものだったのかもと思った次第。

Profile

石原 悠 / Yu Ishihara

デザインとプログラミングと編み物とヨーグルトが好きです。